宝山結恵さま(キャリア形成支援業界・個人のキャリア開発とカウンセリング業務)

「キャリアコンサルタントとして、長く現場に立ち続けるとはどういうことなのか」。今回は、その問いに15年分の実感をもってお答えいただけた放送回となりました。今回、瀧本博史の「元気にはたらこ!」にお迎えしたのは、キャリアコンサルタント歴15年、公共機関・職業訓練校・就労移行支援など、数多くの現場を渡り歩いてきた宝山結恵(ほうざんゆめ)さんです。

番組の中で語られる宝山さんの歩みは、「計画通りのキャリア」ではありません。2009年にキャリアコンサルタント資格を取得し、最初に立ったのはハローワークの窓口。失業給付の手続きに行ったその場で声をかけられ、思いがけず支援の世界に足を踏み入れたというスタートでした。その後も一つの場所に留まることなく、「もっといろいろな人に出会いたい」という思いから、公共機関、職業訓練校、就労移行支援事業所など、多様な現場を経験していきます。

特に印象的なのは、就労移行支援の現場で向き合ってきた方々の姿です。発達特性や心の不調を抱え、「自分なんて」、「どうせ無理だ」と強い自己否定の中にいる人たち。第三者から見れば、十分に価値ある経験や力を持っているのに、本人だけがそれを受け取れない。その現実に何度も直面する中で、宝山さんの関心は「仕事選び」だけでなく、「自己肯定感」や「心の在り方」へと深まっていきます。キャリアコンサルティングの枠を超えそうになりながらも、「それでも、ここを見ずに支援はできない」と学びを重ねてきた15年でした。

番組では、キャリアコンサルタントとしての姿勢も率直に語られます。「アドバイスをする人」ではなく、「一緒に未来を信じ、一緒に悩む人でありたい」。クライエントを“支援される側”として、切り離すのではなく、自分も当事者として「対話の輪の中に入る」。その覚悟があるからこそ、「じゃあ、どうします?」という問いが自然に生まれ、クライエント自身の一歩につながっていくのだと言います。

また、女性の働き方についての話も、この回の大きなテーマの一つです。出産や育児によって一度仕事を離れることを「中断」や「諦め」と、とらえない視点。働く量や形を変えるだけで、キャリアは続いていくという考え方は、実体験に裏打ちされた言葉だからこそ説得力があります。一直線に積み上げるキャリアだけが正解ではない。減速する時期があっても、別の場面で加速すれば、長い目で見ればちゃんと着地できる──そんなメッセージは、多くのリスナーの心に響くはずです。

「どんな人でも、必ず次につながる何かがある」、「だから、あなたも大丈夫」。15年間、数えきれないほどの人生と向き合ってきたからこそ出てくる言葉の重みが、今回の放送にはあります。キャリアコンサルタントを目指している方、すでに活動していて迷いを感じている方、そして「自分の人生、このままでいいのかな」と立ち止まっている、すべての人にとって、静かに背中を押してくれる回です。ぜひ音声で、宝山さんの言葉の温度と間合いを、そのまま感じてみてください。

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