髙野広樹さま(介護業界・人事部)

「介護の仕事は大変」、「人手不足で余裕がない」──そんなイメージを持っている方にこそ、ぜひ耳を傾けてほしい回があります。今回の『瀧本博史の元気にはたらこ!』に登場したのは、介護職のキャリア支援専門家・髙野広樹さん。不動産業界で18年にわたり営業や経営に携わった後、42歳で介護業界へ転身し、今は人事・採用の現場とキャリアコンサルタントの両面から、介護職一人ひとりの「働き方」と「人生」に向き合い続けている方です。

番組を通して印象に残るのは、髙野さんの語る言葉がとても現実的で、同時にあたたかいこと。転職のきっかけも、仕事が嫌になったからではありません。「50歳、60歳、その先まで、自分はどんな仕事を続けていたいのか」。人生の後半を見据えたときに、不動産営業とは違う形で“人の人生の選択に寄り添う仕事”をしたいと考え、たどり着いたのが介護職のキャリア支援でした。

介護業界でこれまでに支援してきた人は、電話相談なども含めると数千人規模。実際に面接へ同席した件数だけでも200〜250件にのぼります。だからこそ語れるのが、「採用できても、定着が難しい」という現場のリアル。人手不足の本質は人数の問題だけではなく、教育の仕組み、弱音を吐きにくい空気、人間関係、そして“職員の尊厳が後回しになりやすい構造”にあるといいます。

それでもこの放送が暗くならないのは、髙野さんが一貫して「誰かを無理に引き留めない」姿勢を大切にしているから。介護の仕事が合わないなら、辞めてもいい。続けることだけが正解ではない。その上で、「もし続けたい気持ちが少しでもあるなら、外に相談できる場所がある」という選択肢を示し続けています。主役は自分ではなく、現場で働く職員、施設、利用者さん、そしてご家族。自分は“裏方”として、そのすべての人が笑顔になれる接点を増やしたい──そんな想いが言葉の端々から伝わってきます。

また、「介護=夜勤が当たり前」という思い込みをやさしくほどく話も印象的です。デイサービスのように日中のみの働き方、24時間体制の施設、夜勤が合う人・合わない人。それぞれに選択肢があり、本当は柔軟な働き方ができる業界なのに、その魅力が十分に伝わっていない現状にも触れられます。

さらに、採用や支援をする側でありながら、自ら初任者研修を受けて現場に立った理由も語られます。「外から見るのと、中で働くのは全然違う」。だからこそ、現場を知らずにアドバイスはできない。そんな覚悟が、言葉に説得力を与えています。

介護職の方はもちろん、これから介護業界に関わる可能性のある方、人が辞めていく現場の構造に問題意識を持っている方、そしてキャリア支援に携わるすべての方にとって、多くの気づきがある回です。「介護の仕事って、実はこんな見方もできるんだ」と、きっと価値観が少し揺さぶられるはず。ぜひ本編で、髙野さんの言葉の温度をそのまま感じてみてください。

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