曽場勝司さま・金井さま(ナレーション・介護支援業界で、支援者支援を広げる活動に携わるキャリア支援者)

今回の「瀧本博史の元気にはたらこ!」は、いつもの軽快な語り口の中に、働くこと、支援すること、そして人と人がつながることの本質がにじむ、とても味わい深い放送回です。ゲストは、番組リスナーにはおなじみの声でもある曽場勝司さん。ナレーターとして、また話すことのプロとして活躍されている曽場さんですが、今回はその一面だけではありません。介護、障害者支援、キャリアコンサルティング、支援者支援、そして新たな団体「ハンマウム(한마음)」の活動について、瀧本との自然な会話の中で、これまであまり語られてこなかった背景が丁寧に引き出されていきます。

番組の冒頭で紹介される「ハンマウム」とは、韓国語で「ひとつの心」という意味を持つ言葉です。曽場さんは、介護事業に携わる仲間とともに、「何か一緒にできないか」と考える中で、この名前にたどり着いたと語ります。自分の持っているナレーションや話す力、相手が持っている介護現場での実践、その二つを単に並べるのではなく、ひとつの心として重ね合わせていく。そんな思いが、この団体名には込められています。

今回の放送で特に印象的なのは、「支援者を支援する」という視点です。介護や福祉の現場では、利用者や患者、相談者を支えることに目が向きがちです。もちろん、それはとても大切なことです。しかし、その人たちを日々支えているヘルパー、家族、介護職、医療や福祉に関わる人たちは、いったい誰に支えられているのでしょうか。支援する側の人が疲れていても、「自分が弱音を吐いてはいけない」、「ここで自分がしんどいと言ったらだめだ」と抱え込んでしまうことは少なくありません。

曽場さんは、そこに強い問題意識を持っています。支援者は決して超人ではありません。本当は精神的にも肉体的にもかなり疲れているのに、責任感があるからこそ我慢してしまう。相手のために頑張る人ほど、自分のつらさを後回しにしてしまう。番組の中で語られるこの視点は、介護や福祉の現場だけでなく、教育、医療、キャリア支援、相談業務に関わるすべての人に響くものがあります。

瀧本もまた、キャリア支援の現場にいる立場から、その話に深くうなずきます。支援する人がしんどいと言えない空気は、さまざまな現場にあります。相談窓口や制度があったとしても、本当に安心して話せるのか、職場に知られるのではないか、弱い人間だと思われるのではないか。そうした不安がある限り、人はなかなか本音を出せません。だからこそ、ハンマウムが目指そうとしている「気軽に来られるプラットフォーム」は、これからの社会に必要な場なのだと感じます。

また、曽場さんの語りが魅力的なのは、介護や支援の仕事を過度に美化しないところです。番組の中で曽場さんは、介護の仕事に関わるようになった理由について、驚くほど率直に語ります。最初から「人の役に立ちたい」という熱い使命感だけで入ったわけではなく、資格を取ることで仕事の単価が上がる、時間の自由が利きやすい、自分のやりたい仕事につなげられる、そういう現実的な理由もあったと話します。

この率直さが、逆にとても誠実です。働く理由は一つではありません。誰かのため、生活のため、自分の夢のため、時間の自由のため、スキルを活かすため。どれか一つだけが正解ではなく、さまざまな理由が重なり合って、その人のキャリアが形づくられていきます。瀧本もその点に共感しながら、働き方はもっと多様であっていい、資格を持つ仕事も一度離れてまた戻るというあり方があっていい、と話を広げていきます。

介護職や福祉職というと、どうしても「一生を捧げる仕事」、「強い使命感がなければできない仕事」と見られがちです。しかし曽場さんは、その見方に少し違う角度から光を当てます。介護の仕事を一時的なキャリアの選択肢として活用することもあっていい。そこから別の仕事へ進むこともあっていい。必要なときに戻れる資格や経験として捉えることもできる。これは、介護業界に対する乱暴な見方ではなく、むしろ働く人を大切にするための現実的なキャリア観だと言えるでしょう。

番組では、曽場さんのこれまでの経験も語られます。身近に障がいのある人が多く、子どもの頃から自然に関わる環境があったこと。ひとり親家庭で育ち、当時の制度上、ひとり親家庭と障がい者支援の担当が近いところにあったため、障がいのある人と接することに特別な抵抗がなかったこと。だからこそ、曽場さんにとって障がい者支援は「特別なこと」ではなく、目の前にいる一人の人と普通に関わることだったのです。

この話は、とても大切な示唆を含んでいます。支援とは、特別なモードに切り替えて行うものではなく、相手を一人の人として見ることから始まるのかもしれません。曽場さんは、「障がい者対応モード」のようなスイッチは自分の中にないと語ります。そこには、支援を必要とする人を過剰に特別扱いするのではなく、同じ社会の中で共に生きる人として自然に受け止める姿勢があります。

さらに番組では、医療と介護の現場の間にあるズレについても、曽場さんの実体験をもとに語られます。医療側は本人や本人のそばにいる人の話を聞きたい。一方で介護側は、ヘルパー個人が直接医師に話すことをためらい、事業所を通そうとする。どちらにも事情はありますが、その間で連絡が止まってしまうことがある。曽場さんは、そうした現場のリアルを知っているからこそ、伝える役割の重要性を感じているのです。

この「伝える」という役割は、曽場さんのナレーターとしての仕事ともつながっています。ただ情報を並べるのではなく、聞いてもらえる形で届ける。現場にあるよい面も悪い面も、きちんと外に伝える。知られていないことは、存在しないことのように扱われてしまいます。だからこそ、現場の人だけが頑張るのではなく、その頑張りや課題を社会に知らせていく人が必要なのです。

瀧本も、キャリア支援の世界において同じような問題意識を語ります。現場に立ちたい人は、現場に立てばいい。しかし、現場で起きていることや支援の価値を周囲に知らせる人も必要です。支援の成果や課題が伝わらなければ、その大切さに気づいてもらう機会がありません。今回の二人の会話は、介護とキャリア支援という異なる領域を行き来しながら、「支援の価値をどう社会に届けるか」という大きなテーマへと自然に広がっていきます。

また、曽場さんのキャリアの面白さは、一見ばらばらに見える経験が、あとからつながっていくところにもあります。ナレーション、介護、医療現場での仕事、障がい者支援、旅行添乗、介護タクシー、鉄道への関心、キャリアコンサルティング。どれか一つだけを見れば別々の仕事のように見えますが、番組を聞いていると、それらが少しずつ重なり合い、今の曽場さんの活動につながっていることがわかります。人生の中で経験したことは、すぐには意味が見えなくても、あとから思わぬ形で生きてくる。そのことを、曽場さんの歩みは自然に教えてくれます。

今回の放送は、介護や福祉の仕事に関わる方はもちろん、キャリアコンサルタント、相談業務に携わる方、医療・福祉の現場で働く方、家族を支える立場にある方、そして「自分の経験をどう活かせばよいのか」と考えている方に、ぜひ聞いていただきたい内容です。重いテーマを扱いながらも、瀧本と曽場さんのやり取りは決して堅苦しくありません。むしろ、普段の会話のような自然なテンポだからこそ、支援の現場にある本音や葛藤がすっと入ってきます。

ハンマウムという「ひとつの心」に込められた思い。支援者を支えるという、これからますます必要になる視点。介護や福祉の現場を、きれいごとではなくリアルに伝えることの大切さ。そして、一人の人のキャリアは、思いがけない経験の積み重ねによって形づくられていくということ。

今回の「瀧本博史の元気にはたらこ!」は、曽場勝司さんの新たな一面を通して、働くことの奥行きと、人を支える仕事の本質を感じられる放送です。誰かを支えている人にこそ、支えが必要です。その当たり前のことを、あらためて心に残してくれる回になっています。ぜひ、番組を通して曽場さんの言葉に触れ、支援する人、支援される人、そしてその間にある「ひとつの心」について考えてみてください。

◆NPO法人 夢・総合研究所ホームページ
https://yumesoken.client.jp/

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