山本可能さま(キャリア支援業界で、傾聴・キャリア相談・資格試験対策に取り組む「傾聴社長」)

「試験会場に入った瞬間、滝のように汗が流れて、何もできなくなるんです」

もし今、そんな人が目の前にいたら、その人が将来「傾聴社長」と名乗り、多くのキャリアコンサルタントから頼られる存在になると想像できるでしょうか。

今回の「瀧本博史の元気にはたらこ!」にお迎えしたのは、山本可能さん。

普段から私、瀧本も一緒に仕事をさせていただく機会があり、その人柄や活動をよく知っている方です。

今ではキャリアコンサルティングの世界で幅広く活動し、YouTubeやX、noteなどでも積極的に情報を発信。さらに「傾聴社長」という印象的な名前でも知られています。

そんな山本さんですが、最初からキャリア支援の仕事が得意だったわけではありません。

むしろ今回のお話を聞いていると、

「そこから今につながるの?」

と思ってしまうほど、意外なスタートだったことがわかります。

山本さんが新卒で入ったのは広告会社。

長年にわたり広告制作の仕事に携わってきました。

ところが40代のとき、早期退職の募集をきっかけに会社を離れることを決断します。

そして、その後の再就職活動の中で出会ったのが「キャリアアドバイザー」という仕事でした。

当時、山本さんが出会ったキャリアアドバイザーは60歳を超えていたそうです。

その姿を見て山本さんは、

「60歳を過ぎてもできる仕事があるんだ」

と気づきます。

広告の世界では、年齢を重ねた先の働き方について考えることもあった山本さん。

「この仕事なら長く続けられるかもしれない」

そう感じ、キャリア支援について学ぶため養成講座へ飛び込みました。

ここから順調にキャリアコンサルタントへの道を進んだ……と思いきや、そうではありません。

養成講座では、本人いわくクラスの中でもかなり苦戦する存在。

笑顔で明るく参加しているものの、

「この人、本当にできるようになるのかな」

と思われていたのではないか、と振り返ります。

そして試験にも、なかなか受かりませんでした。

特に試験本番になると極度に緊張してしまい、部屋に入った瞬間に大量の汗。

普段できていることができなくなる。

試験後のフィードバックでは、ほとんどの項目について「できていない」と評価されたこともあったそうです。

山本さんと瀧本の会話では、これを思わず

「逆パーフェクトですね」

と笑いに変える場面も。

ところが、当時の本人にとっては決して笑い話ではありません。

試験対策では「そんなに受からないようには見えない」と言われる。

それでも、本番になるとできない。

この繰り返しです。

それでも山本さんは諦めませんでした。

そして合格した試験の最後。

「何か言い残したことはありますか?」

と聞かれた山本さんは、思わずこう伝えます。

「今日も僕は緊張しましたけど、普段はもっとできるんです」

さらに、

「本当に悔しいです」

と。

このエピソードを聞くだけでも、今、資格試験や技能検定に挑戦している方には、かなり勇気をもらえるのではないでしょうか。

一度うまくいかなかったからといって、その仕事に向いていないとは限らない。

二度、三度とうまくいかなかったとしても、それだけで将来まで決まるわけではない。

現在の山本さんを知っている人ほど、この過去とのギャップに驚かされるはずです。

資格取得後も、広告の仕事を続けながら、職業訓練などを中心に少しずつキャリア支援の実務を積み重ねていきます。

現場に出たばかりのころは、経験不足から叱られることもあったそうです。

それでも途切れずに続けていった。

そして大きな転機になったのが、コロナ禍でした。

広告の仕事では撮影が難しくなり、仕事そのものが減る時期もありました。

その一方で、山本さんは2級キャリアコンサルティング技能検定への挑戦など、学びを深めていきます。

ところが、ここでも一発合格ではありません。

2級も3回目での合格。

約1年半にわたって勉強を続ける中で、養成講座だけではわからなかったこと、実務を通して初めて見えてくることに気づいていったと話します。

そしてオンライン化によって活動の可能性が広がり、知り合いが増え、相談の機会も増えていった。

勉強する。

実務で試す。

うまくいかない。

また学ぶ。

そして、もう一度試す。

山本さんのキャリアは、華々しい「成功物語」というより、この繰り返しによって少しずつ形づくられてきたものなのかもしれません。

そんな山本さんが、なぜ現在「傾聴社長」と名乗っているのか。

ここにも興味深い理由があります。

山本さんが注目したのは、「経営者と聴くこと」の関係でした。

キャリアコンサルタントというと、従業員や個人の相談に乗る仕事というイメージを持たれやすい。

一方で、経営者に対する支援では、コーチングなど別の領域がイメージされることもあります。

だからこそ、

「経営の人にも、“聴く”ということに注目してほしい」

そんな思いから「社長」という言葉を入れたと語ります。

そして少しユーモアを交えながら、

「社長が『よし、話を聞いてやるよ』と言うと、なんだか聞けていない感じがする」

という話も飛び出します。

経営者は普段、自分が話し、周囲に聞いてもらう立場になりやすい。

だからこそ「人の話を聴く」ということが、組織を動かすうえで大切になる。

「傾聴社長」という名前には、単なるキャッチコピーだけではない意味が込められていることが見えてきます。

そして、山本さん自身がキャリア支援の仕事を続けてきて感じている変化も印象的です。

それは、

「以前よりニュートラルにコミュニケーションを取れるようになった」

ということ。

広告制作では、商品の良さや企業の魅力を見つけ、それを言葉にして届けることが求められます。

そこには、人の良いところを見つけるキャリア支援との共通点があります。

一方で広告では、先を読み、「こうだろう」と仮説を立てながら仕事を進めることも必要になります。

だからこそ、知らず知らずのうちに先入観を持って相手を見ることもある。

キャリアコンサルティングを学び、実務を重ねる中で、その「決めつけ」が少しずつ減っていったと山本さんは振り返ります。

これはキャリアコンサルタントだけでなく、人を育てる立場、部下を持つ立場、家族の相談を受ける立場にいる人にも通じる話ではないでしょうか。

「相手のことをわかったつもりになっていないか」

「相手が話し終わる前に、答えを考えていないか」

そんなことを考えさせられます。

山本さんがこの仕事で特に喜びを感じるのは、相談者の「小さな変化」が、やがて大きな変化につながっていく瞬間です。

長くかかるだろうと思っていた人が、あるとき急激に変わる。

相談をきっかけに行動を始める。

何年か前に相談に来た人が再び訪れ、自分の力で新しい道を切り開いている姿を見せてくれる。

そうした瞬間について山本さんは、

「嬉しいですね。本当に嬉しいです」

と話します。

技法でも資格でも制度でもなく、「人が変わっていく姿を見ること」が仕事を続ける原動力になっている。

その言葉からは、山本さんがなぜ長くこの仕事を続けているのかが伝わってきます。

そして今回、話題は11月に開催される「キャリコン万博」へ。

キャリアコンサルタントが集まり、業界そのものを盛り上げていこうという大きなイベントです。

すでに多くの参加予定者が集まり、山本さんの周囲にも「手伝いたい」とスタッフとして集まる人たちがいるといいます。

瀧本と山本さんが共通して考えているのは、

「キャリアコンサルタントだけで盛り上がって終わってはいけない」

ということ。

キャリア支援の世界には、熱心に学ぶ人がたくさんいます。

しかし業界の中だけで盛り上がっていても、その価値が外の人に届かなければ、本当の意味で広がっていきません。

ここで登場するのが、なんと「DJ」の話です。

実は山本さん、DJとしても活動しています。

一見すると、

「キャリアコンサルティングとDJに何の関係があるの?」

と思うかもしれません。

ところが山本さんの話を聞いていると、驚くほど共通点があります。

クラブに行ったことのない人にとって、初めてクラブへ行くハードルは高い。

キャリア相談を経験したことのない人にとって、初めて相談へ行くハードルが高いことと似ています。

ところが、一度その世界を知ると、

「自分もやってみたい」

と思う人が出てくる。

そして仲間同士では盛り上がる。

しかし、いつの間にか参加者も同業者ばかりになっている。

DJイベントにDJばかり集まってしまうのと、キャリアコンサルタントのイベントにキャリアコンサルタントばかり集まること。

さらに、初心者へのマナー論争まで起きるところも似ているというのです。

このあたりの瀧本と山本さんのやり取りは、思わず笑ってしまう一方で、かなり本質的です。

自分たちの専門性を高めること。

仲間と交流すること。

それももちろん大切です。

しかし本当に考えなければならないのは、

「まだこの世界を知らない人に、どうやって魅力を届けるのか」

ということ。

そして、

「来てくれた人に、どう満足してもらうのか」

ということです。

キャリアコンサルティングをすること自体が目的になっていないか。

相談を受けている「自分」に満足していないか。

本当に目の前の相手に価値を届けられているのか。

広告、キャリア支援、資格試験、SNS、経営者への傾聴、そしてDJ。

まったく違うように見える山本可能さんの経験が、今回の放送では不思議なほど一本につながっていきます。

そして何より印象に残るのは、今では多くの人に頼られ、YouTubeなどで試験対策について発信している山本さん自身が、かつて試験会場で緊張し、何度も不合格を経験していたということです。

うまくできなかった過去があるからこそ、わかることがある。

遠回りしたからこそ、伝えられることがある。

人の話を聞けなかった時期があったからこそ、「聴く」ということを考え続けられるのかもしれません。

今、キャリアコンサルタントを目指している方。

資格試験に苦戦している方。

キャリア支援の仕事を始めたものの、自信が持てない方。

組織の中でもっと人の話を聴けるようになりたい方。

そして、「自分のこれまでの経験は、本当に次につながるのだろうか」と考えている方。

そんな方にこそ、ぜひ今回の「瀧本博史の元気にはたらこ!」を聴いていただきたいと思います。

「最初からできる人」でなくてもいい。

むしろ、できなかった経験や遠回りした時間が、いつか誰かを支える力になることもあります。

試験に何度も苦戦した一人の会社員が、なぜ「傾聴社長」になったのか。

広告の世界で培った力は、どのようにキャリア支援へつながったのか。

そして、DJとキャリアコンサルタントに共通する、意外だけれど重要な課題とは何なのか。

瀧本と山本可能さんだからこそ飛び出した、笑いあり、失敗談あり、そしてキャリア支援の本質を考えさせられる今回の放送。

ぜひ「瀧本博史の元気にはたらこ!」で、その続きと二人のナマのやり取りをお楽しみください。

◆GINZA可能キャリア研究所公式ホームページ
https://www.kanoucareer.com/

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