

資格を取った。勉強も続けている。人の役に立ちたいという思いもある。それなのに、なかなか仕事の依頼につながらない。「活躍している人は、自分と何が違うのだろう」と考えたことはありませんか?
今回の『瀧本博史の元気にはたらこ!』には、その問いを考えるヒントが詰まっています。ゲストは、Kakedas(カケダス)のキャリコングランプリで、2024年、2025年と2年連続でグランプリを受賞した高瀬雄一さん。インフラエンジニアとして働きながら、キャリアコンサルタントとして相談に応じ、産業カウンセラーの活動にも携わっています。
これだけ聞くと、最初から順調に依頼が舞い込み、特別な才能や華やかな実績で道を切り開いてきた方を想像するかもしれません。ところが、瀧本博史が話を聞いていくと、見えてくるのは意外な出発点と、誰もが自分の働き方を振り返りたくなるような、身近な実践でした。
そもそも高瀬さんは、大学で福祉や臨床心理を学んでいたそうです。そこから、なぜITの世界へ進んだのでしょうか。その背景には、就職活動での苦労がありました。就職氷河期に活動していた高瀬さんは、100社以上にエントリー。福祉の実習で自分の適性について考え、一般企業への就職を目指すものの、簡単には決まりませんでした。
そんなとき、仕事の適性診断で出てきたのが、エンジニアという職業だったといいます。もともとパソコンに触れることが好きだったこともあり、その道へ。「これが自分の天職だ」と最初から確信していたわけではなく、迷いながら、一つの可能性に踏み出した経験だったのです。
今の自分の仕事が、学生時代に思い描いていたものと違う。進路を選んだ理由を聞かれても、立派な物語として説明できない。そんな思いのある方にとっても、高瀬さんの歩みは、少し肩の力が抜けるお話ではないでしょうか。きっかけは小さくても、そこで経験を重ねるうちに、次の仕事や新しい役割へとつながっていく。今回の対談では、その様子がご本人の言葉で語られています。
キャリアコンサルタントの資格取得についても、順風満帆ではありませんでした。産業カウンセラーの学びから関心が広がり、ダブルライセンスもいいな、という気持ちで挑戦したものの、合格までには3回の受験を経験。当時は試験対策の情報が乏しく、記述式や論述式の問題に、どう備えればよいのかも見えにくかったそうです。
この話題では、瀧本も当時の苦労に大きくうなずきます。過去問が少ない中での勉強や、カセットテープを使っていた頃の思い出。二人のやり取りには笑いもありますが、その奥には、手探りで学び、何とか現場に立とうとしてきた時間があります。現在の受賞歴だけでは見えない高瀬さんの姿に、親しみを感じる場面です。
そして、仕事につながるまでの話には、さらに驚かされます。Kakedasと業務委託契約を結んだ後も、最初の1年ほどは依頼がなかったというのです。今では2年連続でグランプリを受賞している方にも、待っていても仕事が来ない時期があった。その事実だけでも、今まさに活動の入り口で悩んでいる方には、耳を傾けたくなるものがあると思います。
ようやく届いた最初の依頼にも、思わぬ出来事がありました。依頼を知らせる自動メールが迷惑メールに振り分けられ、高瀬さんは気づかないまま数日が過ぎてしまったのです。事務局から連絡が入り、初めて依頼を知ることに。大切な仕事の始まりが、危うく見逃しかけた一通のメールだったというのも、どこか現実味のあるお話です。
しかも、その依頼は、社員の方との一般的なキャリア相談ではありませんでした。IT業界のベンチャー企業の社長から、キャリアコンサルティングの導入について意見を求められたのです。同じ業界で働いてきた経験はある。それでも、キャリアコンサルタントとして意見を求められれば戸惑いもある。高瀬さんは相談をしながら、この最初の仕事に向き合っていきました。
経験を積んでからでなければ、依頼を受けるのは怖い。十分に答えられる自信がない。そう感じる方もいるでしょう。高瀬さんの話からは、仕事を始めるときの率直な戸惑いと、周囲の力も借りながら依頼に応えていく姿が伝わってきます。
では、そこから依頼を受け続けるために、何を大切にしてきたのでしょうか。今回、特に聴いていただきたいのが、このお話です。
最初に出てきたのは、プロフィール写真でした。高瀬さんは当初、証明写真を使っていたそうです。しかし、事務局から、暗い印象に見えるので写真館で撮るような写真に変えてはどうかと助言され、見直しました。その後、写真を見た第一印象がよかったという理由で依頼が届くこともあったといいます。
相談の技術を磨くことは、もちろん大切です。ただ、相談する側は、会う前にその技術を確かめることができません。どんな人だろう。話しやすそうだろうか。安心して相談できそうだろうか。プロフィール写真も、そんな思いに応える入り口の一つなのだと気づかされます。
さらに、高瀬さんがほぼ毎日のように見直しているというのが、対応できる曜日や日程の情報です。登録したときに書いて、そのままになっている方はいないでしょうか。高瀬さんは「この日は対応できる」、「この日は難しい」という情報を、できるだけ最新の状態に保っています。
その理由は、とても自然です。自分が相談を申し込む立場だったら、まず日程の合う人を探すから。どれだけ魅力的な経歴が書かれていても、いつ相談できるのか分からなければ、申し込みをためらうかもしれません。相手が選ぶときに必要な情報を、きちんと届ける。その積み重ねを、高瀬さんは日々の行動にしています。
そして、依頼への返信も、できるだけ早く。連絡に気づけば速やかに返し、夜遅い時間帯には翌日にするなど、相手への配慮も忘れません。返事を待つ人が、不安にならずに日程を決められるようにする。ここにも、相談者や依頼者の立場から考える姿勢が表れています。
写真を整える。予定を更新する。連絡に返信する。言葉にすれば、どれも特別に難しいことではありません。だからこそ、忙しさの中で後回しにしてしまうこともあります。瀧本が強く反応したのも、高瀬さんがこうした基本を、丁寧に続けているという点でした。
相談が始まってからの関わりだけでなく、相談を申し込む前の段階にも、相手の気持ちを考えられる場面がある。「この人なら、安心してやり取りができそうだ」と感じてもらえる対応は、自分の日々の仕事にもあるだろうか。聴きながら、そんなふうに振り返りたくなるお話です。キャリアコンサルタントとして活動している方はもちろん、個人で仕事を受けている方や、お客様とのやり取りを担う方にも、重なるところがあると思います。
番組の後半では、対人支援の仕事をしていてよかったことにも話が広がります。高瀬さんが語ったのは、さまざまな業界や世代の人と出会い、自分とは異なる価値観に触れられる喜びでした。
担当する相談者は、高校を卒業したばかりの18歳の新人から、70代のベテラン社員まで。長く技術の仕事をしてきた方からは、先輩の仕事を見て覚えたことや、厳しく指導された時代の話が出てきます。一方で、社会に出たばかりの方には、その世代ならではの感じ方や仕事への向き合い方があります。
同じ「働く」という言葉の中にも、これほど違う経験がある。自分には当たり前だったことが、相手には当たり前ではない。そうした違いに触れられることを、高瀬さんは、この仕事をしていてよかったこととして話しています。誰かの相談に応じる時間が、支援する側にとっても、世界の見え方を広げる時間になっているのです。
2年連続のグランプリという実績を持ちながら、高瀬さんの語り口は飾らず、率直です。受賞への驚きも、試験での苦労も、最初の依頼への戸惑いも、そのまま話してくださいます。瀧本との軽快な掛け合いを聴いていると、実績の大きさだけでは伝わらない人柄にも触れられます。
収録時点では、2026年のキャリコングランプリにもノミネートされている高瀬さん。3年連続の受賞となるのか、という期待も語られました。ただ、その結果を待つ間にも、ご本人はきっと、目の前の依頼や相談者に、一つずつ向き合っているのでしょう。
もっと学ばなければ、もっと経験を積まなければと、少し焦っている方。資格を仕事にどうつなげればよいのか、迷っている方。そして、今の仕事の中で、自分にできる工夫を見つけたい方。今回の放送には、今日の行動を一つ変えるきっかけがあるかもしれません。
高瀬さんが、どんな言葉で自分の歩みを振り返り、どんな思いで日々の依頼に応えているのか。ぜひ『瀧本博史の元気にはたらこ!』で、二人の会話をお聴きください。聴き終えたとき、いつものプロフィールや一通の返信が、少し違って見えてくるはずです。
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